壬生義士伝/浅田次郎

壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

南部藩出身の新選組隊士、吉村貫一郎の物語。
吉村貫一郎って実在の人物だったんですね。この人の名前はこれで初めて知りました。
これ、実は映像化されたものをちらっとだけ見たことがあって、そこに映ってた中井貴一(=吉村貫一郎)があまりに垢抜けない奴だったので、「こんなの新選組じゃないやい!」と、ずっと敬遠して、読まずにいました。
一読して思ったのは、新選組がすごくかっこ悪いということ。総体である新選組はなんだかかっこ悪い。なのに、吉村貫一郎ももっとマイナーな隊士も斎藤一も(幹部レベルの隊士できちんと登場するのは斎藤さんくらい)、いや新選組隊士以外のありとあらゆる登場人物が、一人一人がすごくかっこいい。浅田次郎作品を初めて読んだんですが、こうやって登場人物一人一人を深く、魅力的に描くことができる作家さんなんだなあと思う。
そんで、すごく面白かったです。新選組がかっこ悪いのに面白いって、新選組ファンとしてすごく悔しい気分。
それと、南部訛り全開の吉村貫一郎独白の部分。私はお隣の秋田藩奥羽越列藩同盟裏切りました)出身なんですらすら読めましたが、関東以西の方には結構読みづらいのではなかろうか。
以下はネタバレ感想。既読の方のみどうぞ。










面白かったのは竜馬暗殺斎藤一犯人説。竜馬暗殺の犯人については新選組原田左之助)説見廻り組説薩摩藩説などなど色々聞いたことありますが、斎藤一犯人説は初めて聞いた。これもしかして浅田次郎のオリジナルなんでしょうか。斎藤一左利き説は聞いたことありますが、それがこう繋がるとは!この辺はミステリ的面白さがありました。
最後まで気になったのは「記者」が誰かということ。最後で明かされるかと思ったら、謎のまんまでしたねー。「記者」には具体的な人物を設定してないのかな。吉村貫一郎の三番目の子供かなーと思ってましたけど、普通に登場するし。あとどうせなら永倉さん出してほしかった。せっかく長生きしたんだし。