ただの日記。

模擬裁判と言うものに参加してきました。
一般の人が裁判官やら裁判員、被告人やら検察官やら弁護人やらに扮し、裁判をするというもの。私は傍聴人の役だったのですが、裁判が終わった後参加した全員が三つの班に別れ有罪か無罪かなど話し合いました。裁判員制度について市民の理解を深める目的のイベント。
強盗致傷事件の裁判で、六月末朝5時にとある書店(一階が店舗で店主Aさんが二階に生活している)で、物音に気付いて起きたAさんが一階に下りると店のシャッターが1mほど上がっていて、泥棒がレジからお金を盗んでいた。Aさんは泥棒に声をかけ、シャツの裾を掴んだが、泥棒はAさんを暴行して逃亡。レジからは3万円が無くなっていて怪我もしたのでAさんは警察に通報。このときAさんの書店に前には鍵の付いた車が停まっていた。駆けつけた警察官にAさんが事情を説明していると、停まっていた車にBさんが近づいてきた。警察官がBさんを呼び止めると、Bさんは「違う!俺じゃない!」とか言いながら逃げようとするので、警官に取り押さえられた。BさんはAさんの目撃証言と矛盾しない服装をしていて、Tシャツの襟が少し破れていた。そしてBさんのズボンのポケットには3万円が。Bさんは一ヶ月前に失業してお金に困っていた――というのが事前に渡されたシナリオ。正直、これだけ読んで「決まりだろう」と思っていました。こんなん一々裁判しなきゃなんないんだあ…とも。
ところが裁判が始まってみると、被告人(Bさん)は無罪を主張。「友達にお金を借りに行って、他に停める所がないので書店の前に停めていた」「3万円はその友達に借りたもの」「迷惑がかかるのでその友達の名前や住所は言えない」「『俺じゃない!』と言ってしまったのはパニックになってしまったので」などなど。そして困ったことに物証がないのです。Bさんは「その書店には入ったことはない」と証言しているので、書店からBさんの指紋やら髪の毛やらが出るか、Bさんの持っていた3万円からAさんの指紋が出るかすれば一発なのに、検察官からは言及なし。頼みの綱のAさんも目撃証言も、電気がついていない店内でシャッターが1mほど上がっていただけなので、Aさんは顔は見ていない。
裁判終了後の班別の話し合いでは「Bさんはうさんくさい、とは思うけど、っていうかBさんがやったんだと思うけど、物的証拠がないので無罪」と言う人が多数派。私は有罪を主張していましたが…だって状況証拠揃い過ぎだし。これで犯人じゃなかったらBさんどんだけ運が悪いんですか。
話し合い終了後、3班中私の班を含む2班が「無罪」という結論でした。各班に一人ずつ法律の専門家がアドバイザーとして付いていたのですが、私の班に付いていたのは裁判官の方、もう一つ無罪の結論を出した班に付いていたのは弁護士の方、唯一有罪の結論を出した班に付いていたのは検察官の方だったのが、面白かったです。
話し合い終了後裁判員グッズなるものを貰って帰宅。
私の班にいた司法修習生の方の面白かったやりとり。
「俺だったらこの事件はそもそも起訴しない。でも俺だったら有罪にする」
「お前は起訴しない事件を有罪にするのかよ」