八つ墓村/横溝正史

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

今まで読んでなかったのかよ。自分でもそう思う。
こういう、最早ミステリ好きとしては常識、みたいな古典作品は殆ど読んでないのです。カーとかクイーンとかヴァン・ダインとかクリスティーとか正史とか乱歩とかことごとく読んでない。他に既読の横溝作品は本陣殺人事件と孤島の鬼いや孤島の鬼は乱歩だった危ない。本陣だけ。
読んだのは↑に上げてるバージョンではないのです。

初版発行昭和四十六年、昭和五十二年発行の三十九版。
黒い背表紙に緑色でタイトルと著者名が印刷され、杉本一文の絵が前面に押し出された昔の角川文庫。
この杉本一文の絵が好きで、実はコレクションしていたりする。

すかっりマニアみたいだ。杉本一文の表紙も作品によっては何パターンかあるそうで、ちゃんとした古本マニアの人はコンプリートしてるとかしてないとか。こんなにあるのにふと読もうと思った犬神家の一族はなかった。
これ、今回読んだ八つ墓村以外、全部未読です。いい加減にしろよと思う。獄門島なんか2冊あるのに*12冊とも読んでない。
前書きが長くなった。以下感想書きます。八つ墓村はネタバレ防止のために映画もドラマも見ないようにしてたので、初体験です。


推理小説」ではなく「探偵小説」の時代。いいなあこういうの。
どうも私は昔の作品の文体を読みにくく感じていたのですが、これは結構すらすら読めました。冒頭から次々と事件が起こったのでぐいぐい引き込まれて一気に読んだ。
以下、ネタバレで感想書きます。未読の人読まないように。
金田一耕助って名探偵の癖に連続殺人終わるまで何もしないんだよね、といわれてるのは知ってました。
それにしたって、正直この話に金田一耕助いらなくね?
真相は主人公の推理したとおりだったし。どっかで金田一活躍したか?フケ飛ばしてただけじゃないか?解き明かしたのって久野医師のメモと事件のつながりくらいじゃないか。
トリックといえるようなものはなかったし、謎なのは動機くらいだったからなあ。和製ABCキラーといったところでしょうか。
おどろおどろしい雰囲気はよかったけど、やっぱ探偵役には「名探偵皆を集めてさてと言い」ってやって欲しいなあ。
ハッピーエンドで終わるミステリはあんまり好きじゃないです。<ひねくれ者。

*1:現行バージョンと背表紙緑バージョン。現行の持ってんの忘れて昔の買った。