ちょっと卒論のことなんかも書いてみる。

専攻は西洋哲学です。自分で望んで選んだ学問ですが、はっきり言ってあまり好きではありません。
すったもんだの末、卒論テーマは「クローン人間の倫理」。倫理学説やってるよりクローンの科学的なこと調べてるほうが断然楽しい。教授にそこ見抜かれて怒られた。
クローン人間反対派の人で、「未来を知らなくて良い権利」というものを主張している人がいて、そこだけちょっと面白かった。例えば男女のカップルがいて、男性側の生殖器官に何らかの問題があり、通常の方法では子供を作ることが出来ない、とする。そこでこのカップルの女性の卵子と男性の体細胞から取り出した核を使って、この男性のクローンを作るとする。手順としてはまず女性に卵子から核を取り除き、そこへ男性の体細胞から取り出した核を移植、電圧をかけて融合させ、後は女性の胎内で発育させる。生まれてくる子供は男性のクローンであり、男性と同じ遺伝子を持っています。子供にとって男性は「遺伝子上の未来」である。この男性の遺伝子に何らかの問題があってそれが原因で男性が病気になってしまった場合、それはこの子供にも起こりうることであるのです。これは子供の「未来を知らなくて良い権利」を侵害してしまう、よってクローンはいかん、という主張。これに対する反論は簡単で、「遺伝子決定論はそこまで決定的ではない」。そもそも通常の親子でも親の姿を見て「俺も将来ああなるのか…」なんてことはよくあること。
一瞬この「未来を知らなくても良い権利」だけでやってみようかと思いましたが、これだけじゃ50枚も書けないや。クローン以外にそんな権利が侵害される事例が思いつかないし。
どうも、私には哲学者の言葉が通じない。前からこれで結構悩んでるんですが。形而上とか、地に足が着いていない議論に頭が付いて行かないのです。「生の実現」とか言われても何のことだかさっぱり判らない。皆わかってんのか?私が馬鹿なだけなのか?
今更他のコースには行けないので卒論は書きますけどね。生命倫理とかの地に足の着いた議論ならなんとかなるのかなあと思ってこのテーマを選んだ次第。
とりあえず加藤尚武の本でも読むことにする。